最高裁判所第二小法廷 昭和28年(オ)628号 判決 1955年5月20日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人依岡勇吉の上告理由について。
訴訟代理権の有無はそれが問題となる当該訴訟においてこれを審判すべきであり、またそれをもつて足るのであつて、別訴を提起して訴訟代理権の存否確認を求めることは、確認の利益を欠き許しえないことは当裁判所の判例とするところである(昭和二六年(オ)第一九号同二八年一二月二四日第一小法廷判決)。そしてこの理は訴訟代理権を証すべき書面の真否確認を求める訴訟についても同様であるといわなければならない。けだし、訴訟代理権を証すべき書面の真否確認を求める目的は訴訟代理権の存否を明確にするにあるのであつて、訴訟代理権の存否確認を求める別訴が確認の利益を欠く以上、その存否確定に資すべき訴訟代理権を証すべき書面の真否確認を求める別訴も当然確認の利益を欠くものと認むべきだからである。論旨は畢竟独自の見解に立脚するものであつて採るをえない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)